「ちょ、ちょっと、翼!だめだよ!怖がるって!」

「怖がれば?」

「じゃない!」


あたしのためを思ってくれるのはありがたいけど、だからこそそれじゃあ……。


「そんな態度とっちゃうから、あたしに手を出すと翼に目で殺されるとか、変な噂も立っちゃうんだよ」

「なんだよ、それ」


翼が口に手の甲を当てて、フッと笑う。

いや、確かに、人間業じゃないあたり、ちょっと愉快な噂ではあるけれど。


「困るでしょ、そんなの」

「別に。女子が近づいてこないなら、それでいい」