なぜか美憂は泣き出してしまった
「え、ちょっと、美憂…?」
ここはちょうど教室の真ん中で美憂が泣いているのを見て、みんなが喧嘩したのかとソワソワしだしてしまった
「おい、お前なんで泣いてんだよ」
気になった男子が美憂に聞くと
「これは嬉し涙なの!
芹に恋愛相談したら必ず叶うんだから!」
美憂はイライラしたのか、少し大きな声でそう言った
その声は教室のそとまで聞こえていたらしく、次の日から私は
【学校の恋愛の神様】
と名付けられ、私の元へ恋愛相談しに来る人が大量に来てしまったのだ
1年経った今はおさまったものの、未だに私の元へ恋愛相談しに来る人は1ヶ月に2人ほど
全員が叶うわけではないけど9割の確率でその恋愛が叶う
「今日も大変だね〜」
「元はと言えば美憂のせいなんだからね!?」
「あはは、ごめんごめん」
美憂とは2年生でも同じクラスになり、いつも一緒にいる
ちなみに美憂の苗字は熊野で、明智君とは今でも付き合っている
いつも明るくて、目がぱっちり二重の可愛らしい女の子
そして私は立花芹香(TachibanaSerika)
高校2年生のごくごく普通の女の子
ただ普通とちがうのは、学校の恋愛の神様ってだけだろう
はじめはこの名前が恥ずかしかったけど、今では少し気に入ってたりもする
人の恋が私の相談のおかげで叶ったって言われたらすごく嬉しいから
私の青春は自分の恋ではなく、人の恋の相談に乗ること。
この朝陽高校に入学するまでは、漫画みたいな恋を思い描いたりしたことはちょっぴりあったけど、今は人の恋の相談に乗ることが楽しい
これからも私は学校の恋愛の神様として残りの青春を過ごしていくんだと思う
「芹!
私図書委員の仕事あるから今日先に帰ってて!」
「わかった
がんばってね!」
「ありがとう」
美憂は、1年前図書委員を経験してから、図書委員が大好きになり、夏休み限定ではなく、1年間の図書委員を明智君と一緒にしている
「さーてと、がんばろう」
そして私は本日日直
ペアの子が休みだったため、1人で日誌を書かなければいけない
「ふう、終わった」
私はぐーんと伸びをした
ガラガラガラ
「え?」
ドアが開閉する音が聞こえて、後ろを振り返った
「どーも」
「…ど、どーも」
教室に入ってきたのは同じクラスの海野蒼(UminoSou)君だった
実はこれが初会話だったりする
海野君の外見はチャラチャラしていて、海野君ぐらいチャラチャラした男の子たちと、ギャルの女の子たちと一緒にいる
名前は爽やかな好青年って感じなんだけどね。
彼女はいるのかな?
とにかくそんなことも知らないぐらい面識がない
海野君は携帯を忘れたらしく、机の中にある携帯を取っていた
携帯を取ったらそのまま帰ると思ってたのに、なぜか海野君は私の方へと近づいてきて…
そしてそのまま私の隣の席に座った
「えっと、どうかした?」
いきなり私の隣に座るなんてなにか用事があるってことだよね?
「日誌書いてたんだ?」
海野君は私の方へと腕を伸ばし日誌を手に取った
「あ、うん、日直だったから」
「ペアの奴は?」
「今日ペアの子休みだったから1人で書いたんだよ」
「そっか。お疲れ様」
そう言って海野君は私の頭をポンポンとした
「あ、ありがとう?」
いきなりどうしたんだろう。
「いいえ」
今考えたら、海野君って女嫌いなのかな…?
だって自分から女の子に話しかけてることもないし、話しかけられてもいつも素っ気なく返してる気がする。
今も私が1人のところに入って来ちゃったから気を使って隣に座って話しかけてくれてるのかも…
「あの、私に気遣ったりしなくていいからね??
海野君女嫌いだよね?」
「俺がいたいからいるだけ。
確かに女は嫌いだよ」
俺がいたいって…
海野君今日はたまたま暇だったのかな
「そっか」
「あんたさ、好きな奴いんの?」
「え!?」
いきなり好きな人聞くって…
「好きな奴いるかって聞いてるんだけど」
なんか怖いな。
「いや、いないけど」
「そっか、よかった」
よかったって何に対してのよかった?
海野君って結構不思議な男の子だな…
「え、っと…」
なんて言ったらいいかわかんないな
「あんたこの学校の恋愛の神様なんだよな?」
「まあ…」
「じゃあ俺の相談も乗ってよ」
なるほど
だからわざわざ私の隣に座ったり、話しかけたりしてたんだ
「うん、好きな子の話聞かせて?」
「あんたが1番分かってるんじゃない?」
「は?」
私が1番分かってるって、まさか美憂のこと好きなのかな?
すると海野君は少し離れていた机の距離を近づけて私が座っている机と海野君が座っている机をくっつけた