浩平「なんなの、マジで。
てか、誰だよ」
蒼汰「かーわいそー。
俺だったら、もっと
優しくするけどな〜?」
浩平「いいんだよ、
余計な期待もたせた方が
かわいそーだし」
ドキっ…///
そんな理由があったんだ…。
ただ、女子が嫌いだから
冷たくしてるのかと思った…。
莉子「ひーくん…
かっこ良くなったね…」
浩平「へっ?!」
莉子「あたしは、嬉しいよ…」
浩平「…母ちゃんかよ?!」
見なおしたなー。
顔だけイケメンじゃないよ!
あ!!
歩美が教室の外で
待ってるんだった!!
莉子「蒼汰くん!」
蒼汰「ん?」
莉子「話せてよかった!!
いつのまにか、普通に話せてた!
また話そうね!」
蒼汰「おう!
待ってるぞ〜」
蒼汰くんに、
思いっきり手を振って、
あたしは笑顔で教室を出た。
特進って、
そこまでお固い人たちばっかりじゃなくて
びっくりしちゃったよ!
蒼汰くんとまた話したいな〜♪
浩平「莉子、かえろ」
放課後、
校門にあたしと歩美が行くと、
ひーくんが待ってくれていた。
莉子「ひーくん!
待っててくれたの?!」
浩平「うん、てかさ」
ひーくんがあたしのかばんを
簡単に奪い取った。
莉子「ちょ、ひーく…」
浩平「ひーくんじゃなくて、
浩平って呼んでくれたら
返してあげる」
莉子「っ?!」
そんな急に…
無理だよ!
浩平「ほーら、はやく!」
莉子「うぅ…
ひーくんの意地悪〜」
浩平「…?!……////」
なんで赤くなってんの?!
あたしの方だよ、
恥ずかしい思いするのは!
なんか、いらいらしてきた!
莉子「こ、浩平!返して!!」
言えた!!
よっしゃ!
浩平「っ…//」
莉子「……なんとか言ってよ?!」
浩平「想像以上……///」
莉子「え?なにが??」
浩平「鈍い莉子ちゃんには
教えてあげませーん」
莉子「なっ!!」
そのまま、
浩平はあたしのバックを持って、
歩いて行く。
歩美もいるんだから、
ちょっと待ってよ!
って、思ったら。
もう、歩美はいなくなってて、
たぶん先に帰ったんだと思う。
いつも、ちょうどいいタイミングでいなくなるからな〜。
さすがとしか、言いようがないよ。
浩平「帰るぞ、莉子」
莉子「うん!」
あたしは、浩平の横に並んで帰った。
莉子「ただいまー!」
無事、家までついた。
浩平って呼べるようになったしね!
…あれ?
家が暗いんだけど…。
誰もいないの…?
リビングに行っても、
誰もいる気配がない。
いつもは、誰かしらいるのになー。
なんで?
まだ帰ってないのかな?みんな。
勉強でもしとこう。
そう思って、
自分の部屋でノード広げた。
すると、玄関のドアが開く音がした。
翔太かな?
階段を降りると、
ほっぺにくっきりと手跡をつけた
未緒がいた。
未緒「ただいま〜腹減った〜」
いつも通りにしてるけどさ…
気になるよ?!
赤すぎるし!
莉子「ちょっと!未緒!
ケンカでもしたの?!」
未緒「は?!してねーし!」
莉子「じゃあ、
なんで叩かれたあとがあるのよ!」
未緒「……」
なんで教えてくれないの?!
あたしには、
隠し事させてくれないくせに!
莉子「ちゃんと言って!
言わなきゃ、ご飯抜き!」
未緒「…夕飯つくるのは、
俺だろーが…」
…まあ、そうだけどさ…。
家事担当は、未緒なんです!
意外でしょ?!
てか、今はそんな話じゃなくて!
莉子「……痛そう」
あたしは、
真っ赤に腫れてるほほを触った。
未緒「っ?!……////」
あれ?なんかもっと赤くなった…?
…こうやってみると、
美緒って、ほんとに綺麗な顔してるなぁ。
女子にキャーキャー言われるのも、
わかるよ…!
美緒「ちょ…もう無理…//」
未緒は、あたしの手をはらって、
自分の部屋に入った。
結局、教えてもらってないんだけど?!
ずる…。
翼「ただいま」
あたしが悔しがっていると、
翼が部活が終わって帰ってきた。
莉子「あ、おかえり!翼!」
翼「…うん。
あのさ、莉子ってさ、
王子と知り合い?」
莉子「王子…?誰それ?」
帰ってきてすぐに、
何を言い出すんだよ。
この人は!笑
翼「…知らねーの?」
莉子「うん、
王子なんて聞いたことないけど…?」
翼「工藤浩平だよ、有名だろ?
俺でも知ってるし」
莉子「え、ひーくん?!
……じゃなくて、浩平?!」
翼「…?!」
浩平って、王子って呼ばれてるの?!
有名なのは知ってるけどさ…!
そんなすごいんだ!
翼「そんな仲いいんだ」
莉子「うん!というか、
婚約者だしね!」
翼「は?」
莉子「え?」
翼の顔が、固まった。
一瞬、時間が止まったみたい。
翼「なにそれ。
きいてない。
ふーん、そーなんだ」
莉子「ご、ごめん!
隠してたわけじゃなくて…」
翼「…」
無言のまま、
翼も自分の部屋に行ってしまった。
さすが双子…。
する行動も同じじゃん…。
その後、
なんとなく
2階に上がりにくかったあたしは、
翔太の帰りを待ってた。
翔太「りーちゃん、起きて」
翔太の声で目を開ける。
あたし、リビングで寝てたんだ…。
テーブルの上には、
未緒の作った夜ごはんがおいてある。
まだ夜か…。
よかった。
翔太「ほら、ちゃんとご飯食べて」
莉子「ありがと!
……あれ?二人は?」
翔太「先に食べて、もう行った」
莉子「え?どこに?」
翔太「まだ寝ぼけてんの?
学校に決まってんだろ?」
莉子「え?!翔太!
今って……あ…さ?」
翔太「そーだよ
りーちゃん、昨日からずっと寝てた」
うっそ?!
そんなに寝てたの?!
莉子「えっ!
じゃあ、今、時間やばいんじゃ…」
翔太「げ…!
やっべ!忘れてた!」
翔太は、遅刻!と叫びながら
玄関を出てしまった。
莉子「ちょっと!
しょうたああああ!」
おいていかないでよ!
莉子「間に合った〜!」
自分の席について、
8時半になった時計を見て、一安心。
よかった〜。
あたしが、胸をなでおろしていると、
歩美がきた。
歩美「ちょっと!遅いわよ!」
莉子「ごめんごめん!
どーしたの?」
歩美「昨日の放課後、
修羅場みちゃったのよ!」
莉子「しゅ、修羅場?!」
歩美「そうよ!しかも……
美緒ちゃん!」
莉子「へっ?!
もしや…昨日の手跡…!」
歩美「そうそう!
思いっきり女の子に
叩かれてたわよ!」
なにがあったんだろ…?
美緒は、女の子の事好きだけど、
気持ちのない付き合いはしない。
ぜったい。
あたしは信じてる。
歩美「まあ…大体理由はわかるけど……」
莉子「はあ?!
歩美すご!」
【ガラガラ】
教室のドアが一気に開いた。
また、女子が入ってくる流れ?!?!
いやなんだけど?!?!
あたしは、目をつぶった。
美緒「莉子!」
莉子「え?!未緒?!」
驚いて、口が閉じないあたしに
どんどん近づいてくる。
莉子「ちょ、へっ?!
なに?!どーしたの?!」
焦ってるあたしをみて、
無表情のままこっちにくる。
こわいよ?!
いつもニヤニヤしてる未緒は
どこに行ったのさ!
と、あたしの机の前に来て、
立ち止まった未緒。
美緒「来い」
そのまま、引っ張られていくあたし。
.…周りは、
全く接点のなかったあたしたちだから
とても驚いてる。
付き合ってるの?!とかも聞こえる。
バンッ
未緒は、あたしを横において、
教壇のとこで先生みたいにした。
美緒「ちょっと聞いて」
んん?!
なんか言うつもりでしょ…こいつは!
美緒「俺たちさ、実は兄弟でー」
.….…。
.…はあああああああ?!
何を言い出すの?!意味わかんないし!!!
美緒「でも、血は繋がってないんだよね」
んんんんん?!
おいおい!
それも言っちゃうの?!
美緒「まあ、
そんなのどーでもいいんだけどさ」
.…どーでもいいんかい!!
って、
一人で心の中でツッコんでるあたし。
相当イタいやつですね.…。
美緒「俺さ、莉子のこと好きだから」
「「「.….….….….….….….….…」」」
教室内が、静まり返った。
物音一つしない。
不思議な空間。
そのまま、
1分ぐらいそこにいた全員の時間が
止まった。
そして、やっと頭が追いついてきた.…。
あたしは、
そのままダッシュで
自分の机の下に隠れた。
待って?!?!?!?!
未緒があたしのこと好き?!?!
冗談だよね?!?!
けど、未緒は、
人を傷つけるような
嘘はつかない.….…はず。
もう、なんなの?!
え?!え?!
えええええ?!
あーーーー!
もう、あたしの頭のなかは混乱状態。
絶対、顔真っ赤だよね.…?!
やだ!恥ずかしすぎ!
美緒「り〜こ!」
気づかない間に、
目の前にはニカッと笑う未緒がいた。
莉子「っ?!」
美緒「やっと、意識してくれた??」
「きゃー!」って、
女子からは歓声が聞こえる。
莉子「っっっ!//////」
熱い。
ほっぺたが、今までにないくらい。
心臓の音がこんなにうるさいのは、
はじめてかもしれない。
あれ?!
あたし、
未緒といつもどんなふうに接してたっけ?!
もう、前に戻ることなんてできない。
バカなあたしでも、
そんなことは自然に理解してた。
あの後、未緒は、
風のように去っていった。
あれだけ、教室内を荒らしといて.…!
ありえない!
そして.…あたしはと言うと.…。
「七星さん、なんで隠してたんだろーね.…」
「どうせ、
未緒くんを一人占めしたかったんだよ.…」
「うっわ〜性格悪すぎ!」
あたしを見ては、
女子が陰口を言ってる。
丸聞こえだし.…。
まあ、しょうがないよね.…。
学校の有名人に告白されたんだもんね.…。
って!///
相手は未緒なのに.…///
まだあの時の未緒の笑顔が
頭から離れない。
莉子「あ"ーーー!」
うなってるあたしに、
声をかける天使がいた。
歩美「莉子?気持ち悪いわよー?」
そう。歩美さまです。
莉子「そんなこと言わないでよ〜
あたしだって、
みんなに悪口言われて、
傷ついてんの!!」
歩美「あら?
私には、
ニヤニヤしてるようにしか
見えないけどー?」
莉子「そっそんなことないし!」
歩美は味方でいてよ〜。
でも、さすが親友…。
あたしがそこまで
ダメージを受けてないことをわかってる…。
めんどくさいなあ〜。
女子って…。
って思ってるだけ。
別に、
あんな陰口に振り回されたくないしね!
歩美「じゃあ、
めんどくさがりやの莉子ちゃんに、
アドバイスをしてあげるわ」
莉子「…!おねがいします!」
歩美「私が思うに…あのね、
莉子には、
仲間は多くなくていいのよ。
莉子のことを、
よく捉えている人を
信じればいいの。
莉子になら、できるはずよ」
……あたしのことをよく捉えてる…?
…どーいうこと?
…それって…あたしのこと
ちゃんと知ってもらわなきゃってこと?…。
…じゃあ、
今のままじゃ誤解されたままだ!
莉子「よし、あたし行ってくる…!」
歩美「いってらっしゃいー」
歩美の笑顔に勇気をもらって、
さっきの未緒みたいにする。
莉子「聞きたい人だけ聞いて!」
女子は、とても驚いてる。
男子は、好奇心の目でみてる。
すっごい嫌な雰囲気。
莉子「……あたし、
あんな意味わかんない
弟なんかに負けないから!!!
好きとか知らないし!
関係ないし!
だから、普通に話してほしい!!」
しーんって、してる。
…ま、いいけどさ。
わかってたけどさ…。
まあ、あたしがこんな性格だって
分かってくれればそれでいい。
莉子「正直、
あたしはもっと友達欲しいし!
未緒たちのせいで、
高校生活、無駄にしたくないから、
静かに暮らしてたけど…。
ほんとはいろんな人と
話したいの!!……おわり!」
もう最後の締め方が分かんなくて、
自分でも
なに言ってるかわかんなかったよ…。
まー、しょーがない。
莉子「たっだいま〜!」
歩美のところに戻ると、大爆笑の歩美。
珍し…すぎてこわい。
莉子「なにさ…!」
歩美「ははっ…さすがね。
さすがわたしの親友だわ」
莉子「……もう!
そんな笑わないでよ!!」
なんか急に恥ずかしくなって、
二人で笑いあった。
歩美「男嫌い、治るといいわね?」
莉子「うん……ちょっと、
がんばってみる…」