そんな担任の声がこいつらに届くわけもなく。
「目無しのことで盛り上がってんのか?あいつはまだ死んでないんだ。とりあえず落ち着け!お前らの暇つぶしがなくなったわけじゃない!」
コイツ、なに言ってんの……?
俺は机を蹴飛ばした。
「おい、黒瀬!お前なにやってんだ!」
もう我慢の限界。
「てめぇこそどういうつもりだよ。沢田のこと、なんだと思ってんの?こいつらのオモチャなんかじゃねーんだよ。教師なのに生徒をそんな扱いすんのか?少しは沢田のこと考えろよ!」
俺は教卓に立つ担任の胸ぐらをつかんだ。
後ろから女子の悲鳴が聞こえてくるが、そんなの知ったこっちゃない。
俺は右腕を上げ、思いっきり担任を殴った。
「黒瀬……どうして高野先生を殴ったりしたんだ?」
俺はすぐに取り押さえられ、生徒指導室に連れていかれた。
こうなったら全部話してやる。
どうあがいたって、俺は停学になるんだし。
「先生さ、沢田がいじめられてること知ってた?」
「ま、まあ……」
「あいつが目無しって呼ばれてるのも?」
「それがどうした」
「生徒がそう呼ぶのは、まだ許せんだけどさ、教師がそう呼ぶのっておかしいよな?」