「今行くー……」



仕方なくベッドから降り、リビングに向かう。



「おかえり、お母さん」


「ただいま。ゴメンね、私もう出るから。遅刻しないようにね」



そう言って、お母さんは慌ただしく家を出ていった。



……なんで私を呼んだのよ。



まあ、いいや。


部屋から出たし、とりあえず風呂には入っておこう。



そして風呂上がり、なんとなく、リビングを見回してみる。



なんの変哲もない、いつもと同じ部屋。



西側に壁半分くらいの大きさの窓があって、左右に薄緑のカーテンが束ねてある。


そして、それに並行に置かれたテレビ。


その前にテーブル、白いソファ。


テーブルの上には雑誌やリモコンが無造作に置いてある。


そして、食卓のまわりに4つの背もたれ付きの椅子。



……荒らしてみようかな。



泥棒が来たみたいにさ。


それで、私が傷つくって倒れてたら……



誰か、心配してくれるのかな?



物は試し。


やってみよ。




「ふふっ、完璧」



私は学校をサボり、家を荒らした。


とりあえず床に雑誌とかを散らかして、棚の中にあったものも出して落としていった。