黒瀬はイヤ。


あいつだけは、絶対に。



「だったら、誰なら信じられるの?」



なっちゃんはため息混じりに聞いてくる。


そんなの、決まってる。



「なっちゃん」


「はぁ……」



おー、綺麗なため息だこと。


そんなに呆れるかなぁ……?



ま、自分でもわかってるけどね。



でも、こればっかりはどうしようもないことなんだよ。



「とにかく、いい加減成長しなさい」



……ムカ。


今の言葉は聞き捨てならない。



「……先生になにがわかるの?」



いじめられて、男の人に囲まれて、怖くて、気を失った。


そして、目が覚めて男子を見ただけで過呼吸。


苦しかったし、意味がわからなかった。


ただただ怖くて。



それでも、誰にも頼れなくて。


だけど、どの学校の保健室の先生とは仲良くするようにしてきた。


そのおかげで、ちゃんと自分の過去に向き合えたし、成長だってした。