すると申し訳なさそうな、弱々しい声が聞こえてきた。



なにがごめん?



私のいじめを悪化させたこと?


それとも、私が男性恐怖症だって知らなくて触れてたこと?



どちらにしろ、私が心を許す、なんてことはありえないから。



だから。


今すぐここから出てって。



「黒瀬くん?美琴ちゃん、起きたの?」



あ、なっちゃんの声だ。



「はい。でも……」


「あー……なるほどね。黒瀬くん、なんとなくわかってるでしょ?だとしたら、あなたがとるべき行動はひとつしかないはずよ」


「…………失礼しました」



そんな声と同時に、ドアのガラガラという音がした。



「美琴ちゃん、もう大丈夫よ」



なっちゃんの言葉を聞いて、私はすぐにベッドから出た。



「なっちゃん、黒瀬……くんに私のこと話した?」



一応“くん”をつけて言う。



そして、なっちゃんは椅子に座りながら答えた。



「そりゃあ、ね。誰かに話しておいたほうがあなたも楽でしょ?」



そうだけど……


だからって、黒瀬に話さなくてもいいじゃん。