隣に黒瀬がいた。
そしたら“沢田”って言われて……
ダメだ、やっぱりわかんない。
そもそも、なんで黒瀬が私の男性恐怖症を知ってるわけ……?
誰にも言ってないはずなのに……
……もしかして、なっちゃん?
あ、なっちゃんってのは保健室の先生。
なっちゃんにはいろいろ話してるんだ。
もしものために、ね。
て、そうじゃない。
黒瀬、今なんて言った?
“私を守りたい”?
“絶対に守ってやる”?
私の嫌いな言葉しか言わないんだね。
お断りだよ、そんなの。
篠宮のことがあるんだもん。
こんなこと言う人は、信じない。
てか、言わなくても男は信じない。
どーせ、みんな同じだもん。
男はみんな、同じ。
信じたって裏切られるなら、信じないほうがいい。
「とにかく、ごめんな、沢田……」