「あなた、美琴ちゃんのクラスに転校してきた子よね?」
先生は椅子に座って、敵対心むき出しにして言ってきた。
「はい、まあ……」
「それで、一気に美琴ちゃんをいじめるリーダーにまで登りつめた人物」
……は?
なんだよ、それ……
俺、別にリーダーとかじゃ……
「キミが美琴ちゃんをいじめると言ってから、美琴ちゃんのいじめは悪化。そうさせた人を、リーダーと言わずしてなんて言うの?」
そう言われると……
返す言葉もない。
「気を失ったってことは、誰か男の人が触れたのね?」
俺はうつむいたまま、黙ってうなずく。
ていうか、触ったのって俺なんだけど。
「はぁ……」
すると、先生は深いため息をついた。
「美琴ちゃん、誰にも言ってないみたいだけど、男性恐怖症なの。小学生のときかららしいわ」
小学生のときから……?
「初めてそうだとわかったときは、男子を見ただけで過呼吸。今はそこまでじゃないけど、触られたら倒れちゃう」