こいつ、一切顔見ようとしねぇ。


後ろの席なのはよかったが……



「目無し!席、変わってくれるわよね?」



SHRが終わって教師が出てった瞬間、あいつは女子に囲まれた。



てか、そんな言い方するとあいつ……



案の定、あいつは荷物持って席立とうとしてる。



「黒瀬くん……?」


「なんで……目無しの手、掴んでるの……?」



気付いたら俺はあいつの腕を掴んでた。



なんでって言われても……



「お前らさ、こいつのこといじめてるわけ?」



俺は女子の質問には答えず、質問を返す。



「そ、それは……」



まあ、はっきりとは言えねぇよな。



「面白そうだな。それ、俺にも参加させろ。目無しの後ろの席だったら、授業中とかちょっかい出せるし」



あいつと前後の席でいたくて、こんな嘘までつくとか。



俺ってサイテーだなぁ……