私は布団から出て、ゆっくりとベッドから降りる。
「お、行くのか。ほらよ」
黒瀬くんがカバンを渡してくれた。
彼の手に当たらないように、慎重に……
「お前さ、俺のこと嫌いなわけ?」
黒瀬くんは不服そうな顔をしている。
なんでそんなこと聞くんだろう……
嫌い、ね……
男子は……とりあえず、苦手ってか……
そうだ、怖いんだ。
「てかさ、いい加減なにか言えば?感じ悪いんだけど」
どうぞどうぞ、嫌うなら嫌ってください。
私、篠宮以外の男の人は、どうでもいいんで。
──キーンコーンカーンコーン……
すると、二限目の終わりを告げるチャイムが鳴った。
教室、行かないと。
私は黒瀬くんを置いて、保健室を出た。
一緒に教室行ったりしたら、女子に余計いじめられちゃうしね。
悪化だけはさせたくない。
そういえば、私、なんで保健室に……?
もしかして黒瀬くん……?
だったらどうしよ……
お礼言ってない……
ま、手紙でも渡せばいっか。