すると、一人の女子生徒が私の前にしゃがんだ。
これ、顔見えるよね。
私は慌てて下を見た。
「……そんな避けないでよ。助けたげようかな、って思ったのに」
すると誰にも聞こえないよう、私だけに聞こえるように言ってくれた。
でもね……
今さら、そんな簡単に人を信じられないわけですよ。
ほら、よくあるじゃん?
いじめてる子の味方が実は一番の敵でした、みたいなの。
それに、ホントに助ける気があるんだったらさ、もっと早く声かけてくれてもよかったわけじゃん?
だから、信じられないんだよね……
ていうか、助けてあげようかなって……
上から目線もいいとこじゃん。
「目無しちゃん?」
彼女はさらに、私の顔をのぞき込んでくる。
いや、こう呼ぶ時点でアウトでしょ。
私の本名、知らないって言ってるも同然じゃん。
だけど、嫌だからってこのまま無視とかしたらいじめ、絶対に悪化するだろうし……
「目無しちゃんさぁ……無視はなくない?」
あ、しまった。
もう手遅れだ。