俺が、しっかりしてれば、こんなことにはならなかったのに。



美琴の手紙を読み終えた俺の目からは涙が流れていた。


これが、なんの意味を持っているのか、俺でもわからなかった。


それを見た母さんは黙って頭をなでてきた。


いつもなら迷わず手を払うが、今はこの優しさに甘えたかった。




「とりあえず今はなにもできない。あたしも、どこに行ったのか聞かされてない。つまり、あの二人が戻ってくるのを待つしかないんだ。だから、帰ろう」



数分後、ようやく落ち着いた俺に、母さんはそう言って、歩き始めた。


俺は母さんの背中から美琴が住んでいた家に視線を写し、それを目に焼きつけた。



すると、美琴と過ごしたわずかな思い出が突如駆け巡った。


俺も、楽しかったんだ。



だから、また会いたい。



次、会ったとき……


君はまた俺の彼女になってくれる……?