「なんで、目無しなんかを助けなきゃいけないのよ」


「黒瀬くんを奪っときながら、あたしたちに助け求めるとか、頭おかしいんじゃない?」



……ほらね。


私、嫌われてるんだから。


誰も助けてくれないよ。



「テメェら、ふざけたこと言うのもいい加減にしろよ。たとえ嫌いな奴だろうと、病人が目の前にいたら助けるのは当たり前だろうが」



黒瀬は、怒りのこもった声色でそう言った。



だけど、さすがにそれは押し付けがましいんじゃないかな……?



「そんなに言うなら、黒瀬くんが手を貸したらいいじゃない!彼女なんでしょ!?」



やっぱり。


でも、黒瀬でもダメなんだよ。



「できるなら俺が美琴を助けたい。でも、それができねぇから、あんたらにこうして頼んでるんだ。頼む、手を貸してくれ」



黒瀬のその一言で、空気が一変したような気がした。



「黒瀬くんの頼みだから……」



いや、気のせいじゃない。


一変したんだ。



私の席の近くの女子生徒たちが協力して、私を運んでくれた。


あとでちゃんとお礼言わなきゃ……



そう思ったと同時に、私は意識を手放した。