「…………か、える…………」
なんとか出せた声は、恐ろしく小さかったため、誰の耳にも届かなかった。
しかし本当にそれしか言えなくて、ますます呼吸は苦しくなっていった。
そしてついに、私は椅子から落ちてしまった。
あちこちから悲鳴が聞こえてくる。
「沢田さん!」
「美琴に触るなよ」
「うん、だから黒瀬くんはここで沢田さんを見ててね。すぐ先生を呼んでくるよ」
どんどん頭が真っ白になっていく。
落ち着こうにも、気持ちに整理がつかないせいで、落ち着くこともできない。
助けて……
誰か……
「美琴ちゃん!」
意識が途切れかけた瞬間、なっちゃんの声が聞こえた。
そういえばなっちゃんとは喧嘩したままだったなぁ……
「ちょっと女子数人、手を貸して!」
なっちゃんは私の背中をさすりながら、教室に響く声で叫んだ。
保健室に運ぶための人手を求めてるのかな。
でもね。
ダメだよ、なっちゃん。
ここに、私を助けてくれる女子はいないんだから……