私の男性恐怖症についてを口に出さず、助けてくれてる。
それくらい、私にだってわかる。
「思ってないよ……僕はただ、沢田さんの体調が心配で……」
「だったら声かけるだけでいいじゃねーか」
「そう、だけど……」
「とにかく、余計なことしなくていいから。美琴のことは俺が守るし」
「………………謝りたいんだ………………」
「え……?」
やっぱり、忘れてなかった……
ダメ、だ……
また、あのときの恐怖が……
「は?聞こえねーんだけど」
「いや、なんでもないよ。そうか、沢田さんには黒瀬くんがいるんだね。だったらもう過去は振り返らないのかな?」
うるさい……
もうそれ以上、なにも言わないで……
今さらなんの、つもりなの……
これを口に出したくても、何も言えない。
それくらい……
呼吸がキツくなってきたんだ。
「美琴?大丈夫か?」
私の異変に気付いたのか、黒瀬は優しく聞いてきた。
大丈夫なわけない。