「沢田さん」
「っ!?」
なんで……
なんで来るわけ!?
若宮先生は私の机のとこに来て、しゃがんだ。
恐らく、私の顔を見るためだろう。
嫌だ……
嫌……
い、や……
……妙な動機が収まらない。
「沢田さん、顔色悪いけど、大丈夫?」
先生はそう言いながら、額に手を伸ばしかけた。
だけど、その手は私の額に届かず、空中で止まった。
「お前、わざとか?」
「く……ろ、せ……?」
どうやら黒瀬が、先生の腕を掴んだらしい。
もう、旭なんて出てこなくて、黒瀬って言ったけど、今それはどうでもいいこと。
「わざとって……?」
「いくら女子に人気がある教師だからって、女子生徒に触れていいとでも思ってんのか?」
これは、きっと黒瀬なりのフォローなんだと思う。