下校中、私はいつものように、一人で道路を見つめながら、とぼとぼと歩いて帰っていた。
すると、軽い力で背負っていたランドセルを押された。
「うわー、ブス菌に触っちゃったし!」
男の子の一人が私を押したと思う、右手をブラブラさせている。
「近寄るなよなー!」
「ブス菌がうつるだろー!」
ほかの男の子が、また私を押す。
私は見事にバランスを崩し、水たまり落ちた。
昨日の雨で、できてたみたい。
というか、今日は運悪く白靴下だったせいで、靴下は泥だらけ。
黒のスカートにも若干、泥が飛び散ってる。
今日、火曜日なのに……
「あははっ!ブスのお前にお似合いだな!」
男の子たちは無様な私を見て、大笑い。
悔しかった。
ブスってのはちゃんと自覚してるけど、どうして私がここまでされなきゃいけないの?
私、なにも悪いことなんてしてないのに。
さっきだって、私が近寄ったわけじゃない。
すると、じんわりと視界がぼやけてきた。
男の子たちの足がにじんでいく。
「お前らなにやってんだよ」
その声を聞いて、めったに顔を上げないのに、私は久しぶりに顔を上げた。