オルドは一葵に近寄ると一葵の頭を軽く殴る。

「いってぇ!」

い、いきなり殴るんだ……。

『年上相手にその口調をなんとかしろ』

『す、すみませんオルド。俺のほうからちゃんと言い聞かせるんで』

……クロアも大変だなあ。

『話を戻すぞ』

オルドは雪菜と僕がリンクが出来ることと、オルドたちが何をしていたのか手短にみんなに話す。

「じゃあ、俺たちはリンクをするために呼ばれたのか?」

『そんなところだ。人それぞれ条件や場所は違うが、それはお前たちでなんとかしろ』

「それより雪菜の体は大丈夫なんですか?!」

沙羅が心配した表情でオルドに聞く。

そんな沙羅を見たオルドは、優しく微笑むと沙羅の頭の上に手をおく。

『安心しろ、今アスナが治療してる。直ぐに良くなるさ』

その言葉に沙羅はホッとしたようだ。

僕はシアンに視線を向ける。

シアンはさっきから強ばった表情をしていた。

気にしてるのかな?雪菜のこと……。

『それじゃぁ、それぞれ扉の前に行け』

みんなは、それぞれ扉の前に立つ。

『ここから先はリンクするまで帰って来れない。死ぬ気で頑張れよ』

奏佑は、未来の異変に気がついたのか顔を覗き込む。

「どうした未来?」

「ち、ちょっと緊張しちゃって……」

『大丈夫よ未来。この私が付いているんだから』

「う、うん……」

僕から見ても未来は強がっているように見えた。

それは仕方のないことだと思う。

だって未来たちは、これから知らないところに飛ばされるんだ。

それにリンクするまで帰って来れない。

「未来、手を貸して」

「奏佑?」

奏佑は、ズボンのポケットからキーホルダーを取り出した。

「もし怖くなったら、これを握ればいいよ」

「あ、ありがとう……」

さすが奏佑だ。

未来の気持ちを誰よりも分かってる。