『こ、これは!守護妖精のおふた方!』

アスナは礼儀正しく一礼する。

『ご無事でなによりです』

なんでこんな対応なのかちょっと戸惑う。

『そんな畏まらないでアスナ』

『シアン様、お久しぶりです』

『うん』

シアンはアスナに微笑む。

アスナは、そのまま雪菜が寝かされたベッドを奥の部屋へと運んで行った。

「ねぇ、何であんなに礼儀正しかったの?」

『妖精にはそれぞれ階級があるんだ』

「階級?」

階級なんてあったんだ。

『まぁ、一番のトップはヴィーナスだが、ヴィーナスの次の階級は、ヴィーナスを補佐する側近だ』

『側近は、オルドのことを言うんだよ』

「えっ、そうなの?!」

あ、だから扉を守る妖精なんだ。

オルドは目を細めて僕たちを見てきた。

『オルドの他にも、側近はもう一人居たんだ』

「へぇ、誰なの?」

『その話はいいだろ』

オルドの低い声に僕たちの会話は途切れる。

もしかして話題にしちゃいけないことだった?

『それよりも、今まで何があったか報告しろ』

『それはこっちの台詞だ。俺たちをほおっておいて、今まで何処で何をしていた?』

オルドとソレイユの間で火花が散る。

な、なんだろうこの空気……。

オルドは深い溜め息をつくと話し出す。

『ヴィーナスたちが連れていかれた日、俺はまず妖精たちの避難に追われた』

オルドは詳しく話してくれた。

妖精たちの避難し終えたオルドは、ヴィーナスと守護妖精たちの行方を探していた。

でも、やっぱりソレイユたちと同じく、痕跡一つ見つけることが出来なかったらしい。

扉を使っていろんな時空へと飛んだけど、アクの拠点である黒城はまだ見つかっていない。