【愛斗】

『オルドは、扉の妖精だ。妖精界と人間界を繋ぐ扉を守っている』

「そ、そうなんだ……」

じゃあ、僕と雪菜が通ったあの星空の道もオルドが管理しているのかな?

やっぱり妖精って凄いなあ。

『俺たちも行くぞ』

「う、うん!」

僕とソレイユは扉の中へと入った。

扉の中は不思議な感じで目の前には一本の道が続いていた。

だけどその周りには幾つもの扉があった。

黄色い扉、ピンクの扉、紫の扉など、色んな色の扉がーー

『下手に開けるなよ。閉じるのめんどくさいから』

「あ、うん……」

オルドに注意され前を向く。

別に開ける気はないんだけど、ちょっと気になる。

『その扉の向こうは、何があるのか私たちにも分からないから、行くとするならオルドに聞いた方がいいよ』

『聞かれても通さないがな』

オルドはバッサリ言い捨てた。

やっぱり、迂闊に別の世界には行けないよね……。

帰って来れなくなるかもしれないし。

僕は雪菜に目を向けた。

「雪菜……、大丈夫かな?」

もう少し僕が早ければ、雪菜をこんな目に合わせずに済んだかもしれない。

僕がスロウスなんかの術にかからず、もっと周りを警戒していれば、何か違ったかもしれない。

僕の中で後悔が広がるばかりだ。

一本道を歩き続けた僕たちは、青い扉の前で足を止めた。

『この扉はなに?』

シアンの質問に、オルドは答えず扉を開ける。

『中に入れば分かる』

オルドの後に続いて扉の中に入った時、僕たちは驚いた。

「よ、妖精たちだ……」

僕たちの目の前には、幼い妖精たちがたくさんいた。

その中にもちろん大人に近い妖精たちもいる。

『オルドが避難させたのか?』

『ああ、お前が避難させた妖精たちはほとんど無事だ。だが……』

オルドはベッドに雪菜を寝かせる。

『助けられなかった妖精もたくさんいる』

オルドは悔しい表情を浮かべる。

『アスナ』

オルドが妖精の一人の名前を呼ぶと、奥の部屋からナース姿の妖精が現れた。

『どうしたの?オルド』

『怪我人だ。手当してくれ』

『またあ?こっちだって忙しいんだよ!』

アスナは僕たちの傍に来ると驚いた表情を見せた。