【シアン】

『きゃぁぁ!』

私は勢いよく壁に叩きつけられた。

「シアン!」

私の体はもうボロボロで、立っても自分の体を支えるので精一杯だった。

だけど、こんなところで負けるわけにはいかない。

愛斗とソレイユを守らないと!

『まだ立ち上がるのかよ……?いい加減、帰りたいんだけど』

さっきからずっとあくびしてるスロウスには腹が立つけど!

『もう十分遊んだしね、そろそろ連れて行くか』

アクが私にジェネシスを向ける。

次にアクの攻撃を受けたら、今度こそ確実にやられる……。

『じゃあねシアン。今度目を覚ました時は俺の城だよ』

アクが特大の黒い玉を私に放った。

「シアン!」

『くっ!』

ここまでなの……?

そう思った時だった。


ヒュンーー

っという音が聞こえた。

『ん?』

アクは音がした方に目を向ける。

『あれ?何で起きてんの?』

『え……?』

私の体はいつの間にか誰かに抱き上げられていた。

そして、私に向かって来ていたはずの黒い玉は、複雑に斬り刻まれ爆発を起こす。

爆風が私達の髪を揺らす。

『ほんと、危なっかしいな』

私は抱き上げている人物の顔を見て名前を呼ぶ。

『愛斗?!』

ソレイユとリンクした愛斗が私の体を抱き上げていた。

『リンク……、出来たんだ』

私は一安心する。

だけど愛斗はじっと私の体を見る。

『な、何じろじろ見てんのよ!』

『いや……』

愛斗は私を下ろすと言う。

『すまない、シアン』

『ソレイユ?』

『お前と同じだ。愛斗なんて出したらもっと危なっかしい』

「僕をなんだと思っているんだよ……」

ソレイユは私の前に出ると精霊剣を抜く。

『シアンは下がっててくれ』

『だ、駄目よ!ソレイユ一人じゃあの二人を倒すことなんて!』

『言ったはずだ』

ソレイユは、私を見つめていう。

『俺はお前を守れるくらいの力はつけたつもりだと』

ソレイユはスロウスに剣を振り下ろす。

『はぁ!』

スロウスとソレイユの刀がぶつかり火花が散る。

『こんなタイミングで覚醒したのか。面白いね……』

『楽しむ前にお前を殺してやる!』

ソレイユは剣を炎をまとわせる。