「自分のこともっと大切にして!」

『雪菜……』

「私は、愛斗を信じてるよ」

『え……?』

私の隣に雪菜の思念体が姿を現す。

雪菜は私の手の上に手を置く。

「シアンは、一人で闘ってるわけじゃないんだから」

『……』

雪菜の言葉に私は目を逸らす。

「シアンもソレイユのこと信じよ」

雪菜は私に微笑んでくれた。

『雪菜……』

雪菜は、それだけ言うと私の中に戻った。

『愛斗とソレイユを信じる……』

私はソレイユの言葉を思い出す。

『必ず守るから!』

私は軽く笑うとアジュールをアクに向ける。

『……』

アクは何も言わず私を睨みつける。

『ふざけないで、死んでもあなたのところなんかみは行かない!』

私はナデシコと同じことをしようとしていた。

あの時、たしかに私たちは無力だった。

力がなかったせいでナデシコを守れず死なせてしまった。

だけど今は力がある。

私たちには、守れる力があるんだ。

ちょっとソレイユの言葉を借りることになるけど。

『愛斗とソレイユは、私が必ず守る!』

あの時守ることが出来なかったナデシコとソレイユ。

だけど今度こそ守りたい!

私の大切な人を――

私はアジュールを赤色へと変化させる。

『そうか、なら仕方がない』

『めんどくせぇ……』

スロウスは剣を構える。

『気をつけなよスロウス。あのアジュールの精霊剣は特殊だ』

『アクのジェネシスよりは、そうでもないだろ』

二人には、私に向かって大きくジャンプする。

『あなたたちを倒して、愛斗を必ず助け出す』

『やってみなよ!』

アクがニヤリと笑ったと同時に、私たち三人の剣がぶつかった。