【愛斗】

「ここは……?」

目を開けた僕は、懐かしいあの公園に立っていた。

僕は、自分が小さくなっていることに気づいて体のあちこちを見回す。

「な、何で?!」

たしか僕は雪菜といたはずだ。

そして、スロウスという怠惰の妖精と雪菜が闘っていて――。

「早く戻らないと!」

踵を返そうとしたとき誰かに手首を掴まれた。

「え?」

「ねぇ、どこ行くの愛斗?」

その声には聞き覚えがあり、僕はゆっくりと振り返る。

「ゆ……、雪菜……?」

そこには小さな姿をした雪菜が、僕の手首を掴んでいた。

雪菜は首を傾げて聞いてくる。

「どうしたの?急に呼び捨てだなんて」

「き、急にって……、いつもそう呼んでたじゃん?」

僕がそう答えると、雪菜はゆっくりと首を左右にふる。

「ううん。愛斗は、私のこと“雪菜ちゃん”って呼んでたよ」

「ええ?!」

どういうこと?!

確かに小さい頃は、僕は雪菜を“雪菜ちゃん”って呼んでいたけど……。

けど今は――

「変なの夢でも見てたんじゃない?」

「夢……?僕が……?」

じゃあどっちが夢なんだ?

今ここにいる事が夢なのか、それとも雪菜が闘っていたことが夢なのか……。

「あれ……?」

誰と闘っていたんだっけ?

「それより、早くこっちで遊ぼ?奏佑たちとかくれんぼしようよ」

雪菜に手を引かれ、僕たちは奏佑たちのところへ向かう。

「思い出せないから、あっちが夢なのかな?」

そう思った僕の意識は、懐かしい思い出の中に呑まれていった。