【愛斗】

「僕は、また雪菜に助けられるままなのか?」

『愛斗……』

僕は自分の無力さに苛ついた。

こうしている今でも、雪菜はスロウスと闘っている。

守りたい人が目の前に居るのに、今の僕では守れない。

ただ足でまといになるだけだ。

あの時、シアンは言っていた。

僕たちが力を欲しいと思った時に加護は力をくれるとーー

今がその時じゃないのか?!

「くそっ!」

どんなに力を欲しがっても、僕じゃ手に入らないものなの?

「ソレイユ、僕はどうすればいい……?」

『そんなの決まってるさ……』

「えっ……?」

返ってきた声音はソレイユのものではなかった。

それにこの声は、最近聞いたものだった気がする。

疑問に思って後ろを振り返った時には既に遅く。

『闘えない奴は、大人しく寝てろ』

『愛斗!』

僕の名前を呼ぶソレイユの声が聞こえ、僕の意識は脇腹の痛さと共に途絶えた。