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『ねえ、お姉ちゃんは何で闘うの?』

小さい頃の俺が、姉さんにそんな事を聞いていた。

『奇跡たちの未来を守るためだよ』

『僕たちの?』

姉さんの隣には、青い輝きを放つ妖精が一人居て、優しく微笑んで俺を見下ろしていた。

『だから、奇跡は大人しくお母さんたちと待っててね』

『うん!』

そして元気よく返事をする俺だった。

でも、その日姉さんは帰ってこなかった。

あいつが世界を滅ぼすまでは、みんな普通に生活していたんだ。

姉さんだって、直ぐに帰ってくると思っていた。

だけど、俺が見たのは世界を滅ぼそうとしているあいつを、姉さんが全ての力を使って止めたとこだった。

自分の体を犠牲にして、滅びていく世界を守った救世主──。

でも俺はそんな世界を恨んだ。

確かに、姉さんのおかげで世界は守られた。

だけどそんなの数年で壊れた。

あいつがまだ生きているからだ。

そして、姉さんが守った世界を壊そうとしている。

姉さんの他にもあいつと闘っている人たちは居た。

でもみんな死んだ。

姉さんの想い人だった人も、母さんも父さんも、友達もみんな……死んだ。

世界は、世界を守るために姉さんを縛り付けている。

姉さんのおかげで、俺たちが住んでいた所は、今のあいつでは手出し出来ない。

しかしそれも時間の問題だ。