その時頭に衝撃が走り、俺の意識はそこで途絶えてしまった。

☆☆☆

それから、どれくらいの時間が経っただろうか。

「ん……」

俺は、何処かの草むらに倒れ込んでいた。

「く……そ……」

体が酷く重かった。

きっと狭間から放り出されたことが原因なのだろう。

「し……ん……く」

俺はゆっくり体を動かす。

しかしやっぱり体に力が入らない。

「こんな……こと、してる……場合じゃ……」

何とか起き上がり、歩こうとするが体がふらふらだ。

「シンク……」

指輪の反応を辿りながら、俺はシンクのいる場所へと向かおうとする。

しかし、指輪には何の反応もない。

「まさか……、シンクと別の時代に来たのか……?」

いつもなら、シンクの力を感じたこの指輪は真紅の輝きを放っていた。

でも、指輪から光は発せられずにいる。

それに、辺りは霧が立ち込めていて景色が見えない。

「くそ……」

目の前が霞んできた。

「ここで、倒れてたまるか……」

一歩ずつ歩き出すが、体が限界に来てしまい、俺の体は前へと倒れ込む。

「姉……さん」

地面が近くなった時──

「っ!」

誰かが俺の体を支えてくれた。

「……誰だ?」

「おい、大丈夫か?」

声からして女性のようだ。

「誰だ……お前……」

「それは、こっちの台詞だ。何かあったのか?」

目の前が霞んで顔がよく見えない。

「真紅の……」

「え?」

俺は女性の腕を掴み、声を振り絞って言う。

「真紅の妖精を……、見なかったか……?」

「はっ?」

そこで俺の意識は途絶えた。

「真紅の妖精って?」

『雪南、この子……』

女性の隣に、一人の妖精が姿を現す。

「分からない。とりあえず、家に運ぶ」

無理矢理歩かされる感覚を感じつつ、俺の意識は夢の中へと誘われていった。