『未来は必ず変わるさ』

そんなオルドの言葉を最後に、俺達は時空の彼方へと足を踏み入れた。

「くっ!凄い風だ」

目の前は何も見えない。

真っ暗な空間の中では、時計の文字盤や景色が流れていく。

『気をつけないと駄目だよ奇跡、違う時間に飛ばされないようにしないと』

「そんなの分かってる」

俺はゆっくりと歩いていく。

違う時間に飛ばされる訳には行かない、俺が行くべき過去は決まっているんだから。

「行くぞシンク!14年前に!」

『うん!』

その時──

「なんだ?!」

空間に響が入り、時空に大きな穴が空いた。

『な、なにこれ?!』

「分からない!でも、あれに飲まれるわけには──」

時空の狭間に強風が流れ込み、俺の体はずるずるそこへ引っぱられて行く。

『こんなの、聞いてないよ!』

「俺だってそうだ!」

体を浮かさないようにしていたが、風には逆らえず、俺は狭間へと引き込まれていった。

「うわぁぁ!」

『奇跡!』

咄嗟にシンクが力を発動し、真紅の輝きが俺の体を包み込む。

「シンク!」

でも、それをきっかけにシンクとのリンクが解かれてしまった。

「シンク!」

俺はシンクに手を伸ばす。

でも、シンクは力を俺に集中させているせいで、俺に手を伸ばせないでいた。

「何をしているんだシンク!早く手を!」

『大丈夫!必ずまた会えるから』

シンクが微笑んだと同時に、俺はシンクから引き離された。

「シンク!」