【アク】

『ふふふ……』

「随分と嬉しそうね」

『イヴか?』

「もう疲れちゃった。あの子の力予想以上だったもん」

イヴは、俺の持つ精霊剣のジェネシスから姿を現し膝の上に座る。

『お疲れ様イヴ』

俺は、イヴの髪を優しく撫でる。

イヴは、満足そうに笑みをこぼした。

『やっとシアンが出てきたんだ。君の力はここからだよ』

「うん!アクの理想の世界を現実にさせるために、私は頑張るよ!」

イヴは、ジェネシスに宿る魂だけの存在だ。

俺が初めてジェネシスを手にした時、イヴは名前がなかった。

だから、俺がイヴと名付けた。

『ありがとうイヴ、ならそろそろ七つの大罪たちにも働いてもらうかな』

彼女は、ずっと昔から俺の傍に居てくれる。

「私は、ずっとアクの傍にいるよ!最後の瞬間まで」

『ありがとうイヴ』

君が魂だけの存在でなければ俺は……。

イヴのためなら、俺はアダムにでもなれる。

必ず俺の計画は成功させる。

『アク……』

『ん?』

すると、目の前に七つの大罪の一人である、強欲の妖精グリードが姿を現す。

『どうかした?』

『いや、そろそろあいつの様子を見に行こうと思ってな』

『あぁ、なるほど』

俺は、イヴを床におろしグリードの目の前まで行く。

『良いんじゃないかな?君に任せるよ』

『感謝する』

グリードは、それだけ言うと部屋から出て行った。

「相変わらず、無愛想だよね」

『それが、七つの大罪の長男だ。あいつは、誰よりも俺に忠誠を誓ってくれている』

そのお陰で、俺の手駒としてはいい働きをしてくれるよ。

「それで、ルルは認めたの?」

『いや、まだだよ。早く認めれば楽になれるのに』

俺は、再び玉座に座る。

『あいつは、第2のヴィーナスだからね、丁重に扱わないと』

俺は、喉の奥で笑った。