【愛斗】

「雪菜ー!」

『どこだ!シアン!』

「どこに行ったんだ……」

僕は、雪菜が走っていった方向に向かっていた。

だけど、アクの姿や雪菜の姿が見当たらない。

「雪菜、どこにいるんだ!」

その時、俺の目の前を青い蝶が横切った。

『あれは、もしかして!』

ソレイユは、その青い蝶の後を追いかける。

僕もソレイユの後に続いた。

青い蝶を追いかけて行くと、目の前に倒れている雪菜を見つけた。

「雪菜!」

僕は、内心焦りながらも雪菜に駆け寄った。

そして、生きていることを確認してホッとする。

「良かった……」

雪菜のことは見つけることが出来た。

でも、アクの姿は見当たらない。

『どうやら、アクの奴は帰ったようだな』

「何で分かるんだ?」

『アクの気配がしないからだ』

じゃあ、他のみんなも無事だろうか?

僕は、雪菜を抱き上げる。

「行こうソレイユ、みんなと合流しなくちゃ」

『そうだな……』

ソレイユは、誰かを探すように視線をチラつかせていた。

もしかして、雪菜の妖精を探しているのかな?

名前は、確かシアンだったはず。

さっきのソレイユの様子からして、ソレイユはシアンに特別な何かを抱いてると思うんだ。

でも、その話はソレイユから聞けそうにはないだろう。

僕は、出口に向かって歩き始めた。