「僕を忘れてもらっちゃ困るよ!」

寺坂珖(てらさかこう)は、双剣を構えると敵に斬撃をくらわす。

『あまり無茶はするなよ』

翡翠の妖精──ジェイドがそう言う。

「これは、全員俺の獲物だ」

俺は高く飛び上がり敵に狙いを定める。

『ほんとに、奇跡は戦うの好きだよね』

「好きじゃない、あいつらがうざいだけだ」

左目に照準が現れ、俺は二つの銃を構える。

『狙い定めたよ』

「了解」

その言葉と同時に俺は、数十体もの敵を撃ち抜いていく。

敵は次々と倒れていき、体が光に包まれると天へと上る。

「あーあ、負けちゃった」

「今日も完敗かあ」

「当たり前だ。お前らが俺に勝てるわけないだろ」

俺は目を閉じ妖精とのリンクを外す。

『ふう……、疲れたぁ』

俺心の妖精である、真紅の妖精──シンクは大きく伸びをする。

すると、梨杏・珖の体からもリンクされていた妖精が姿を現す。

『お疲れ様、シンク』

『お疲れ、ジェイド・パール』

俺は眼鏡を掛け直し、ある場所へと踵を返した。

「おーい、どこに行くの?」

「何処でもいいだろ」

俺はそう言い捨て足早に歩いて行った。

『いいの?二人放っておいて』

「別に構わない。元々そんなに仲がいいわけでもないし」

『でも、この世界では唯一一緒に闘える仲間だよ?もっと大切にしなくちゃ』

俺は立ち止まりシンクを睨みつける。

『な、なにその目……』

「……別に」

そして再び歩き出す。

仲間なんて居ても邪魔なだけだ。

一人で闘っている方が気楽でいられる。

俺はある建物の中に入り講堂へと向かう。