『ん?』

アクは、何かを感じ取ったのか意識を集中させた。

『まさか……な』

「アク!!」

私は、高く飛び上がるとアジュールをアクに振り下ろす。

『いや、予感は当たったか』

アクも剣を抜き、私と剣をぶつける。

火花が散り私はアクから距離を取る。

『まさか、もうリンクが出来るやつがいたなんてな』

「アク、あなたは私が倒す」

『やってみなよ』

私たちの間で沈黙が過ぎて行く。

そして、先に動いたのは私だった。

「はぁ!」

アクは、簡単にアジュールを避ける。

『お前まさか……』

アクは、後ろに飛び私と距離を取ると言う。

『その力、お前はシアンか?』

『そうだよアク』

私の隣にシアン思念体が姿を現す。

『驚いた?』

『さすがに驚いたよ。死んだ……。いや、消えたと思っていたよ』

「なんの話し……?」

シアンは、アクに笑いかける。

『それは残念だったわね。私は雪菜の中に居たのよ』

『へぇ、どうやったか知らないけど、さすがヴィーナスが残した最終兵器だ』

「シアンは、兵器なんかじゃない!」

アクの言葉に、私は咄嗟に言い返していた。

「兵器を作る実験をしているのは、あなたじゃない!そんなあなたがシアンを兵器だなんて呼ばないでよ!」

『何も知らない小娘が、知ったような口調で語るな』

アクは、キリッと私を睨みつける。

「何も知らないって……」

アクの言う通り、私はアクがやっている実験やシアンのことも詳しく知らない。

それでもシアンは――

「シアンは、私の心だよ!シアンのことは、私が一番分かっている」

『……お前は、馬鹿だな』

「なっ!」

アクは、一気に私との距離を縮めると、剣を私に振り下ろす。

キィン――

『お前は、俺にとって邪魔な存在なんだよ』

『私もだよアク』

何度も剣がぶつかり合っているのに、アクに傷一つ付けることすら出来ない。

『十年も表舞台から姿を消していたのに、力は衰えていないのな』

『雪菜の中にいた時も力を溜めていたからね』

その時、私の意識はシアンとチェンジした。

言葉を交わしながらお互いに剣同士をぶつけ合う。

すると後方へと飛んだアクが私に聞いて来る。