「あなたが……、私の妖精なの?」

私の言葉に、女の子は振り返った。

そして青空と同じ青い瞳が私の姿を捉える。

『こんにちは、雪菜』

「やっぱり、貴方なのね?」

『私の名前が分からないの?』

「ううん、分かる」

私は首を左右に振って、自分の胸に手を当てる。

「あなたの名前は、“シアン”」

『やっと、呼んでくれた』

彼女は、ソレイユたちとは違って私と同じくらいの身長だった。

「ここは、どこなの?」

『ここは、貴方の心の世界』

「私の……?」

『そうだよ』

シアンは、優しく微笑んだ。

『雪菜は、私に力を求めたよね?』

「うん!みんなを助けたいの!」

『他に何か望みはないの?』

「ほかに?」

『今のあなたが、みんなを助ける以外に望んでいること』

私は、その質問に対して考えた。

私が他に望むことは……。

それはただ一つ。

「アクを、倒したい」

『分かった……』

シアンは、私の目の前まで飛んで来る。

『私の力を貴方に貸してあげる』

「ありがとう、シアン」

『本当は、この闘いにあなたを巻き込みたくなかった』

「だから、私の中に戻ったの?」

シアンは、私の質問に首を左右に振った。

「じゃあ、みんなと一緒に居るのが嫌になったの?」

『それも、違うよ』

シアンは、笑って誤魔化した。

どうやら、それに対しては言いたくないみたいだ。

『さて、まずはあのアクを倒さなくちゃね』

「うん!」

私とシアンは手を重ねた。

『空の加護が、貴方に力をくれる』

「空の加護?」

『私は、空の妖精シアンだもの』

その言葉が最後に、私たちの体は再び光に包まれた。

私の心の中に言葉が浮かんできた。

私は、小さくその言葉を呟く。

「共鳴(レゾナンス)シアンとリンク・スタート」