【シアン】

真っ暗な世界に居た時、『あぁ、私は死んだんだ』だと思った。

私の中にやってくるのは、後悔ばかりだった。

私がこうなってしまったということは、雪菜の心は壊れてしまったのだろう。

私のせいだ。

私のせいで、雪菜は心を失って、夢までも失ってしまった。

『ごめん。雪菜……』

あの時、もっとちゃんと注意していれば、こんなことにはならずにすんだかもしれない。

いや、そもそも私がキセキの泉なんて近づかなければ良かったんだ。

ちゃんと、ヴィーナスの言うことを聞いておけば良かったんだ。

でも、もうそう思っても遅い。

私は死んでしまったんだから……。

『なんで、妹ってこういう面倒事ばかり持ってくるかな?』

真っ暗な世界の中で微かに聞こえた声。

そこに誰かいるの?

『まったく仕方がないわね。だから、私以外にあいつを倒す存在なんていらないのよ』

あいつ?

倒す存在?

いったい何のこと?

『ま、いいわ。とりあえず、代償として力の半分は頂いておくから』

その言葉を耳にした瞬間、何が起こったのか分からなかった。

目を開くと、真っ暗な世界から一辺して、周りは真っ白な世界に包まれた。

『いったい、何が?』

上を見上げた時、頭上に青々と輝く何かがそこにあった。

『あれは?』

私は、それに手を伸ばした。

あれは、私が持っていないといけない。

そんな使命感にかられていた私は、青々と輝く錠前を手にした。

『っ!』

目を覚ますと、真っ先に飛び込んで来たのはヴィーナスの顔だった。