【雪菜】

『着いたぞ』

私たちは、アクの黒城と呼ばれている地下へと到着した。

そして、目の前には古びた扉がそびえ立っていた。

「この奥にハヤテたちが居るんだよね?」

『あぁ。ハヤテは扉を開けて直ぐの部屋だ』

「他のみんなは?」

『ハヤテ以外は、更に下の方にいる』

「なんでハヤテだけ……」

もしかして、ハヤテを使ってルルを脅していた?

『入るぞ。アスナ、治療の用意をしとけよ』

『言われなくても、とっくに準備できてるよ』

アスナは、背負っているリュックに目を向ける。

それを見て頷いたアカツキは、古びた扉をゆっくりと押しながら部屋の中へと入る。

部屋の中に入った途端、私は鼻を抑えたい衝動に駆られた。

『この臭いは……』

『血の臭いだ』

「雪菜、大丈夫?」

「な、なんとか」

『雪菜と愛斗はここで見張りを頼む。未来、奏佑、アスナ、行くぞ』

「はい!」

アカツキたちは、奥の部屋へと消えて行った。