「はぁ……」

奇跡が出て行ったのを確認した私は、溜め息をこぼし近くにあるソファにどかっと座った。

『雪菜。座り方が親父みたいよ』

「い、いいの!」

シアンは、軽く笑うと私の目の前に来る。

『いよいよ。本当の闘いが迫っているわね』

「うん……」

明日私たちは、アカツキからヴィーナスとルルたちを救出する作戦を聞くことになっている。

「作戦は、アカツキが考えているんだよね?」

『こういうことに関しては、アカツキの頭は頼りになるのよ』

「勉強の妖精だもんね」

『もちろん、それ以外もあるんだけどね』

「えっ?」

『何でもない』

シアンは微笑むと私の肩の上に座る。

『必ず勝って、この闘いを終わらせよう』

「うん!」

私たちは決して一人ではない。

シアンや愛斗たち、そしてオルドやアカツキたちが居てくれる。

孤独に怯えることなんてない。

みんなが居てくれれば、私は憎しみや怒りに取り込まれることなんてない。

決してリヤンの力に飲み込まれたりなんてしない。

絶対に……。