私たち兄弟姉妹たちが幸せに暮らせる世界になるなら、私は闘うことを決めた。

本当は、闘うことは怖かった。

だけど、シアンや守護者たちに勝利して、私はその先の未来を掴みたかった。

でも、その願いは崩れ去ってしまい、結局私たちは、利用されていただけだった。

『そうか……』

『今なら理解できるんです。どうして、ヴィーナス様が私たち兄弟姉妹を扉の奥へ閉じ込めたのか……』

それは私たちの力があまりにも強力すぎるから、ヴィーナスは私たちを扉の奥へと閉じ込めた。

元々、“私たち” という存在をなかったことにしたかった。

『一人ぼっちで、暗くて寂しくて、私はずっと泣いていました。でも、そんなプライドが私に手を伸ばしてくれたんです』

『プライドが?』

『扉の外へ出ることをためらっていた私を、プライドは手を引いて一緒に出てくれた。そして、目の前にはお姉様たちが待っていてくれました』

『恨んでいるか?ヴィーナスのこと?』

『……いいえ』

最初は、恨んでいた。

どうして自分だけ一人ぼっちなの?

どうしてお母様は、会いに来てくれないの?

いくつもの疑問を持ったことは会った。

だけど今は、ヴィーナス様に感謝している。

『私は、一人じゃありませんでしたから』