『もしかしたら、アクは私たちを利用して、自分だけの世界を創ろうとしているのかもしれませんね』

『その可能性はあるな。エンヴィー、ヴィーナスは何処にいるんだ?』

『玉座がある部屋です。そこでヴィーナス様は、アクによってクリスタルの中に閉じ込められています』

『そうか。でも、これであいつの目的もヴューナスやルルのことも知ることができた』

アカツキ様は、私の髪を優しく撫でてくれた。

『ありがとな、話てくれて』

『はい。今の私には、これしか出来ませんから……』

私がお姉様やグリードに出来ることは、一刻も早くアクのことを伝えて、この闘いをやめてもらうこと。

そしてプライドに出来ることはーー

『なぁエンヴィー。なぜお前たちは、新しい世界を創ろとしたんだ?』

『それは……』

最初は、私たちを孤独の部屋から救ってくれたアクの手伝いをしたかった。

私たち兄弟姉妹を会わせてくれたお礼がしたかった。

アクを手伝うと決心した私たちに、アクは言ってくれた。

『俺は、誰も一人にならない。誰も傷つかない世界を創りたいと思ってる。その世界には君たちにも居てほしい』

私たち兄弟姉妹にとって、その言葉がどれほど嬉しかったことか他の妖精たちは知らないだろう。