【シアン】

『ん……』

私は、薄らと目を開いた。

体が重い……。

体を動かしたいのに思うように動かせなかった。

それにがなんだが周りが騒がしい気がした。

意識がはっきりとしてきた私は、隣りの方に目を向ける。

すると、そこにはーー

『ソレイユ……!』

隣りには、ソレイユが眠っていた。

怪我は私よりも酷く、首から下はほとんど包帯で巻かれているような状態だった。

部屋には、私とソレイユ以外の姿は見当たらない。

どうやら部屋の外が騒がしいみたいだ。

様子を見に行きたくても、体がこんな調子では無理だ。

『ソレイユ……』

私はもう一度ソレイユの名前を呟いた。

『……ごめんね。ソレイユ……』

そして私の頬に涙がつたる。

『守れなかった。……ソレイユも、みんなも……』

どんどん涙が溢れて来る。

『私は、とても無力だ……』

みんなを、ソレイユを守りたいのに、今の私じゃ誰も守れない。

『このままじゃ、またみんなを傷つけちゃう……。私は、いない方がいいのかもしれない』

アクが狙っているのは、私自身の何かだ。

それなら、みんなのもとを離れて、アクのいる世界に行った方がみんなの為になるんじゃないの?

私がアクの言うことを聞けば、みんなは助かるかもしれない。

それならいっそ――

『なに、馬鹿なこと考えてる……』

『っ!ソレイユ?!』

ソレイユが苦笑した表情でこちらを見ていた。

『お前らしくもない……、そんな泣くだなんて』

『だって……、ソレイユやみんなを……、私は守れなかった!』

私は、両手で顔を覆って泣き始めた。

『ちょっと悔しいな』

『……なにが……?』

『お前の涙を……、拭ってやれない』

微笑むソレイユを見て、私は涙を拭った。

そして、重い体を無理矢理動かす。