『お前、弱い』

ヴァニティは、俺の首を強く掴む。

『くっ……!』

『ヴァニティ、ここだと厄介だから場所を移動するよ』

ヴァニティにそう言い放ったアクが指を鳴らすと、俺たちを黒城の中から外へと移動させられた。

『アク……。こいつは…、なんだ……っ!』

『この子は、俺の妹さ』

『妹……だと……?』

『そして、世界を作る為の大事な存在さ』

ヴァニティは、俺を地面へと叩きつける。

『ぐっ!』

ヴァニティは、俺から離れるとアクの傍に駆け寄る。

『お兄ちゃん!私偉い?』

『あぁ、偉いよ』

アクは、ヴァニティの頭を優しく撫でる。

その隙に俺は、エンヴィーの傍に駆け寄った。

『エンヴィー!しっかりしろエンヴィー!!』

『ん……、プライド?』

目を覚ましたエンヴィーは、青ざめた表情で俺の右腕を見る。

『プライド、その腕……!』

『大したことない。それよりも、早くここから逃げないと』

『そんなことさせないよ?』

アクは、手に持っていたジェネシスをヴァニティに渡す。

『ヴァニティ、君があいつらを始末するんだ』

『はーい!』

元気よく返事をしたヴァニティは、ジェネシスを構えると俺たちに向かって歩いて来る。

俺は、背後にエンヴィーを庇い後ろに下がった。

『お兄ちゃんの命令無視するやつ、殺す』

ヴァニティは、楽しそうにジェネシスを振りかざす。

『ぐあっ!』

『プライド!』

『お前ばかりつまらない、そこの女、前に出ろ』

ヴァニティは、急に片言で話始めた。

エンヴィーは鎖鎌を構えると、ヴァニティに向けて鎖鎌を投げつける。

ジェネシスに絡まった鎖鎌だったが、ジェネシスの力によって鎖鎌は破壊されてしまった。

『そんな!』

『つまらない、もうお前たち、殺す』

ジェネシスが不気味に赤く光を放ち、ヴァニティはジェネシスを俺たちに振り下ろした。

『エンヴィー!』

俺はエンヴィーを庇い、ジェネシスの剣をまともに受けてしまった。

『ああああ!』

『プライド!!』

俺は、エンヴィーの体を支えながら崖の下に落ちていく。

『きゃぁぁぁ!』

俺たちの姿は、そのまま暗闇の中へと消えていった。

『落ちた!私、追いかける!』

『もういいヴァニティ。ここから落ちたら、流石に生きてはいない。もし生きていたとしても、上がっては来れないよ』

ヴァニティは、アクにジェネシスを返すと何も言わずに、その場に倒れ込んだ。

『やっぱ、まだ未完成だったかな?』

アクは、ヴァニティを抱き上げるとその場から姿を消した。