『プライド。エンヴィーを置いていくなら、君だけは助けてあげるよ?』

『え、エンヴィーだけをって……、そんなこと出来るわけないですよ!』

プライドは、私を背後に庇いながら立ち上がる。

『どういうことか説明してください。エンヴィーが悪いことしたなら、俺も謝ります』

『謝って済むことじゃないんだ』

アクは、私たちにジェネシスを向ける。

『エンヴィーには、とても大事なことを見られたからね。生かすわけにはいかないんだ』

『エンヴィーを殺すってことですか!?』

『そうだね』

プライドは。アクをギロリと睨みつけた。

私は、アクと目を合わせるのが怖くて、視線を下にさげていた。

そんな私の手を、プライドは握りしめてくれた。

『エンヴィー。俺がアクの足止めをしとくから、お前は走ってグリードにこのことを伝えろ』

『そ、それじゃあプライドが!』

『俺は、大丈夫だから』

プライドは私の手を離すと、アクに弓を向けた。

『どういうつもりプライド?』

『アク。俺にとってエンヴィーは大切な姉さんだ。アクがエンヴィーを殺すって言うなら、俺だって容赦しない』

『君が俺に勝てると思っているのかな?』

『走れエンヴィー!』

プライドの声で、私は走り出した。

『まさか、時間稼ぎのつもり?』

『倒せなくても、エンヴィーがグリードのところへ行けるくらいの時間は、俺だって稼げますよ』

『じゃあ、試して見る?』

私は、グリードの部屋に真っ直ぐ走った。

早くグリードを呼んでこないとプライドが死んじゃう!

廊下の角を曲がった時、いつも私たちが通る廊下が見えた。

『見えた!』

そこに向かって走り出そうとした時――

『みーつけた』

『っ!』

『ふふふ……』

私は、後ろにいた人物を見て驚く。

『あなた……さっき、あのそこに……!』

『駄目だよ。お兄ちゃんから逃げちゃ……』

その声を私は、意識が途絶えた。