【ルル】

『はぁ……。はぁ……』

私は、ベッドの中で激痛に耐えていた。

体の節々は痛み、呼吸するのもままならない状態だ。

昨日から、こんな状態が続いている。

『うぅ……、くっ……、あっ!』

しかし、痛みを耐えなければならない。

そうしなければ意識が持っていかれそうになるから。

『うわぁ……!くっ……、うっ!』

しかし、体に走る痛みはある箇所に集中していた。

それは背中だった。

『くっ……』

波のように間を置いて、痛みは私の体に広がっている。

昨日から続いているこの痛みの原因は、私にも分からない

『あれ、もう前兆が始まっていたんだね』

『はぁ……、はぁ………、アク……』

いつの間にか部屋に入って来ていたアクは、ゆっくりと私に近寄ってくる。

そして素手で私の背中にそっと触れる。

『前兆って……、どういうこと……?』

『知ってるかな?妖精の中でも、ヴィーナスだけ唯一羽をを持っていたんだ』

羽を持っていた……?

でも、そんな羽今まで一度も見たことがなかった気がする。

『つまり、今君の体の中でその羽が生成されてるってこと』

『っ!……そ、んなもの……』

そんなものいらなかった。

『私は……、ヴィーナスなんかじゃない!』

本来、ヴィーナスしか持たない羽が生えるってことは、それは私が第2のヴィーナスだと証明していることになる。

私がそう言うとアクは、今度は指先で強く背中を押した。

『ああっ!!』

私の体に再び激痛が走った。

『あははは。面白いよその表情』

『はぁ……、はぁ……』

もう駄目だ……。

私の意識はそこで途絶えた。