【雪菜】

グリードの姿が消えたのを確認した時、私の体から力が抜けた。

な、なに今の気配……。

凄く嫌な感じだった。

「雪菜、大丈夫?」

「う、うん……」

『厄介な奴が来たな……』

『そうだね……』

さっき殴り飛ばされたシアンの体には、傷跡一つ残っていない。

「シアン、体の方は大丈夫なの?」

『大丈夫よ。ソレイユたちと違って私の体は頑丈だから』

『俺だってそれなりに頑丈だ』

ソレイユは苦笑すると言う。

「それでどうするの?グリードは、キセキの泉に先に向かった。僕たちも本当に行くの?」

シアンは苦しそうに表情を歪めると言う。

『本当のところ、行きたくないのが本音ね』

「そんなに強い奴なの?」

私の言葉にシアンは頷く。

『えぇ、もの凄く強い相手よ。……でも、私たち七人の力を合わせれば、勝てるかもしれないけど……』

でも、七人でグリードにかかっていっても、勝率は低いんだろう……。

私は、震える手を握りしめる。

「でも、行かなくちゃ……」

震える足に力を込めて立ち上がり、真っ直ぐにシアンを見つめた。

「雪菜……」

「私たちが闘わないと、この世界はアクたちに支配されちゃう」

『……雪菜の言う通りよ』

シアンは、私の目の前まで飛んで来る。

『闘いましょう雪菜。一緒にっ!』

「うんっ!」

「俺たちも忘れてもらっちゃ困るよ」

「みんな!」

そこには奏佑たちみんなが集まっていた。

「雪菜一人だけ行かせるなんてことしないよ」

「沙羅……」

「俺たちも行く」

「優空君……」

私は、拳に力を込めてキセキの泉がある方に目を向けた。

「行こうみんな、グリードのところに!」