ちょ、ちょっとこれはまずいって!

いくら女の子同士でも、こんなところを見られたら変に誤解されちゃう。

『雪菜、目が覚めたって聞いたけど……』

『……』

「あっ……」

扉を開けたシアンとソレイユたちが、部屋の中に入ってきた。

しかも、今の私たちの光景を見て体を固まらせた。

『今すぐ閉めなさい!』

『ソレイユ!ちょっとごめんね!』

『ごほっ!』

ソレイユのお腹に、シアンの拳がクリティカルヒットし、ソレイユはそのまま前へと倒れ込んだ。

『ふぅ、危なかった……』

「いやいや、ソレイユ倒れちゃったじゃない!」

『仕方ないでしょ?今の雪菜の姿をソレイユに見せるわけにもいかないし』

「だからってお腹にパンチは駄目だって」

ソレイユ、ごめんね。

私なんかのために犠牲にされちゃって……。

あとで謝っておこう。

『それでアスナ、今の状況を説明してくれる?』

『は、はいシアン様!』

アスナは慌てて私から離れる。

『実は――』



『なるほど、アクによって傷つけられた傷が後も残らず消えた。ということでいい?』

『はい』

私は、シアンたちの会話を聞きながら乱れた服を直していた。

『それは、アスナが治療してくれたおかげじゃないの?』

『それは違います。確かに私の力で傷口は塞ぎました。しかし、傷が完全に消えるにはまだ一ヶ月はかかるはずでした』

「い、一ヶ月?!」

そんなにかかるほど酷かったの?!

改めてそんなことを言われると少しゾッとした。

『なら、なんで傷が……』

『私にも分かりません』

傷が知らないうちに私の体から消えた……?

でも、私には何も身に覚えがなかった。

『とりあえず、オルドにはこのこと報告しておいてくれる?』

『はい!』

アスナはそう言うと、ソレイユを踏みつけて部屋から出ていった。

「そ、ソレイユの扱いだけ酷くない?」

なんか、可哀想だなと思う。