「やっぱり……」

あいつは陽菜を殺すとか言っていた。

だけどそれは俺の闘う気を上げさせるためだったはずだ。

『それで、どうするの優空?』

「……」

外に出たのはいい、考えた通りプライドも俺の後を追いかけて来ている。

『お前……、何処まで逃げる気だ!』

数本の矢をプライドは俺に目掛けて放つ。

俺は、それを上手く避けながら思考を巡らせる。

「きっと、リンクに必要なのは……」

俺は木の影に隠れてクレールに確認する。

「なぁクレール、リンクの最後の条件は俺の気持ちだな?」

『そうよ。今のあなたは、プライドのせいで感情がぐちゃくちゃなのよ』

やれやれと言って、クレールは頭を左右にふる。

「それで頭に血が登っていた俺に、リンクが不可能だと言ったんだろ?」

『そうよ。そう言えば必ず冷静に戻ると思ったからね』

クレールはプライドの様子を伺いながら俺に振り返る。

『ちょっと冷っとしたけど、頭は冷えたみたいね』

「まぁな」

俺は自分の気持ちを整理させるために目をつぶる。

「俺は、何の為に闘いたい?」

さっきのクレールの質問を、もう一度俺に問いかけてみる。

「クレールさっきの質問の答えだけど、俺は陽菜を守るために闘うよ」

『そう、それがあなたの闘う理由。さっきのあなたは、どうやれば陽菜を助けられるのか、プライドと闘うべきなのかと、二つの感情がぶつかっていた。そのせいで、優空の本当の気持ちが隠れちゃったのよ』

「それで、それを確認するために俺に陽菜の為に闘いたいの?って聞いたんだろ?クレールにしては、優しいヒントだったな」

『そうかしら?』

プライドは、矢を構えてゆっくりとこちらに歩いてくる。

『もうやられっぱなしは嫌なのよ、ここまで優しく導いてあげたんだから、しっかりと礼をさせてもらいに行きましょうか』

「あぁ」

俺はズボンのポケットから指輪を取り出す。

そして蝶の紋章が刻まれた腕時計に指輪をかざす。

「共鳴(レゾナンス)、クレールとリンク・スタート」