待てよ、ここは2197年ではなく2173年であって。

ということは──

俺は、ポケットから携帯を取り出し電波を確認する。

「電波がない……」

未来の携帯ってせいもあるかもしれない。

この携帯は、ある人が俺に作ってくれた物だ。

十四年前の2197年の時代に合わせて、電波も調節してもらったはずだったのだが。

電波がないということは……。

目的地だった十四年前の時代ではなく、俺は三十八年前の時代に来てしまったと言うことだ。

「嘘だろ……」

俺は額に手を当てる。

未来に帰れないことはないが、シンクが居ないと力を発動させることが出来ない。

シンクの手がかりも一切なく、飛ばされたのがまさかの三十八年前の過去。

「そんなのないだろ……」

オルドに未来を変える宣言してきて、堂々と旅立ったはずだったのに、なんだよこのざまは……。

この時俺は、シンクが居ないと何も出来ないことに気がついた。

シンクが居ないと過去にも未来にも行けない。

シンクが居ないと自分の力も発動出来ない。

「お前まさか、未来人か?」

「っ?!」

その言葉に、俺は精霊銃を雪南に向ける。

『せ、雪南!』

雪南は、メロディに手で制す。