【アク】

『オルドが面白いこと始めたね』

俺は、オルドが扉を開いたことには気がついていた。

それにあの場所に居たことも。

『一気にリンクをするのか……』

ちょっと楽しみが減るけど、そういう事なら俺も手伝うとするかな。

『グラトニー・ラース・エンヴィー・プライド・ラスト』

俺は七つの大罪たちを呼ぶ。

すると直ぐに五人は俺の目の前に現れる。

『なんすかぁアク、急に呼び出して?』

グラトニーは凄く面倒くさそうに聞いてくる。

『実はね、オルドが面白いことを始めたんだ』

俺は五人の後ろにそれぞれ扉を用意する。

『これは何ですか?』

ラースは扉をじっと見る。

『この扉は、ある場所に繋がっている。そしてそこには、あいつらがいるん』

俺の言葉にグラトニーはニヤリと笑った。

『へぇ、なるほど。なぁアク、あいつら殺してもいいか?』

グラトニーは所有物である斧を軽く舐める。

『殺すのは駄目だよ。リンクさせられるように手伝うだけ』

『チッ、つまんねぇの』

俺はエンヴィーに目を向ける。

彼女は相変わらずびくびくしていた。

嫉妬の妖精だというのに見た目からしてそれを疑うよ。

『エンヴィー、大丈夫かな?グリードと変わる?』

『い、いえ!大丈夫です!』

だがエンヴィーを本気にさせれば、あいつらはどこまで闘えるかな?

『おいラスト、携帯で自撮りしている場合じゃないからな』

プライドは、さっきから自撮りしているラストに注意を呼びかける。

『もう分かってるよ!』

『それじゃあ、頼んだよ』

五人は頭を下げると扉を開く。

そして扉の中へと消えていった。

『ふふふ、早くみんなリンク出来るようになるといいなぁ』

僕の膝の上にイヴが座る。

「何か楽しいことでもあるの?」

『別に、ただ早くシアンと闘いたいなと思ってね』

「私も早くシアンと闘いたいなあ」

『もう少し我慢してくれイヴ』

「はーい」

あとは、ルルの方か……。

あっちの準備もちゃくちゃくと進んでいる。

あの実験もそろそろ完成するしな。

『本当に楽しみだ……。なあそうだろ?母様』

俺は目の前を見つめて笑う。

そこには青々と輝くクリスタルがある。

だがそれは普通のクリスタルではない。

中には俺の母様であるヴィーナスがいるのだから。