「助けてくれてありがとう。助かったよ」

「別に、ただの私の気まぐれだから」

「……」

なんか、話しづらい相手だ。

それに俺を警戒しているのか、睨むようにじっと俺を見てくる。

警戒をしているのは、こちらも同じだが。

でも、聞きたいことは沢山ある。

「なぁ、一つ聞いてもいいか?」

「なに?」

俺は、枕元に居る妖精に指を指す。

「こいつは、お前の妖精か?」

「そうだよ。そこにいるのは、歌の妖精のメロディよ」

「歌の妖精…」

聞いたことがある。

未来にいた時は、一通り過去の妖精には目をと通してあるんだ。

なら、こいつの名前は──

青柳雪南だ。

「てゆうか、あんた一体何者?」

「それは、どういう意味だ」

「真紅の妖精がどうのこうの言ってたから」

俺は、シンクのことを思い出し指輪を見下ろした。

しかし、やはり指輪からシンクの力は感じられない。

『その指輪はなに?』

「お前達には縁のないものだ」

「ふーん、別に自分のことは話さなくていいけど、名前は教えてよ」

「……」

まだこいつのことは信用出来ない。

でも、名前を名乗らないと変に怪しまれるな……。

「小日向奇跡(こひなたきせき)だ」

「奇跡ね。じゃあ質問変える。あそこで何で倒れてたの?」

「言う必要ないだろ」

「……」

「……」

俺たちの間で火花が散る。