聖也が人の命を助けたいと考えている、その原因がわかった。


聖也は中学時代に自分の恋人を失っている。


しかも、ひどくイジメられて自殺に追い込まれている。


その状況を夢で見た聖也は必死で彼女を助けようとしただろう。


聡さんの時みたいに、一日中一緒にいたかもしれない。


だけど、結果は変わらなかった。


彼女は自殺の道を選んでしまった。


家に帰って来たあたしはなにもやる気が起きなくて、ベッドに横になって天井を見上げていた。


仮に、自分が聖也と同じ状況だったら?


そう考えてみてもなかなかピンとこなかった。


ただ、自分の彼女を自殺に追い込んだ礼を許すことは絶対にできないだろう。


聖也は今でも礼と同じクラスにいる。


毎日どんな思いで登校してきて、どんな思いで礼と顔を合わせているんだろう。


そう考えると胸が痛くて、あたしは自分の体を抱きかかえるようにしてうずくまった。