咄嗟にそう聞くと、アスカはハッとしたようにあたしを見た。


そして苦々しい表情になると、小さく頷いたのだ。


チエ……。


「その子って、今はどこの高校に通ってるの？」


そう聞くと、アスカの表情は硬くなった。


「野乃花、チエの事を知ってて聞いてるの？」


「ううん……。ごめん、人づてになんか色々聞いて、気になってて……」


あたしは正直にそう言った。


ここで嘘をついたら、チエと言う子の情報も得られない。


「そっか。野乃花がどうしてチエの事を知りたがっているのか、当ててあげようか」


「へ？」


あたしはアスカの言葉にキョトンとしてしまった。


「聖也の事が好きなんでしょ」


間髪入れずにつながれた言葉にあたしの頭は真っ白になってしまった。


しかしアスカはそれに気が付かない。


「さっき聖也の後ろ姿をずっと目で追いかけてたでしょ。聖也の過去に関することが知りたい。そうなんでしょ？」


そう聞かれて、あたしは真っ白な頭を強くふった。


「好きとか……そういうんじゃなくて」


ようやく声を絞り出す。